TLOとは

TLO(Technology Licensing Organization:技術移転機関)は「大学の研究者の研究成果を特許化し、それを企業へ技術移転する法人であり、産と学の仲介役の役割を果たす」(経済産業省)

TLOは「大学発の新規産業を生み出し、それにより得られた収益の一部を研究者に戻すことにより研究資金を生み出し、大学の研究の更なる活性化をもたらす」(同上)

具体的には、大学の技術シーズと企業の開発ニーズをマッチングして、大学が企業に知的財産をライセンスする契約を結ばせ、大学が企業から契約条件に応じたロイヤリティを受け取れるようにする。

イノベーションのエコシステムにおける大学の役割はイノベーションの種の創出であり、その実現には既存企業との共同研究、既存企業への技術移転、大学発ベンチャーの設立といったパターンがある。

有力なTLOでは、既存企業や投資家を集めてマッチングするイベントの開催、基礎研究と実用化のギャップをつなぐ資金を提供する「GAPファンド」の組成運用といった取り組みが活発である。

【米国のTLO】

TLOの呼称は大学毎に異なり、Technology Licensing Office(MIT)、Office of Technology Licensing(スタンフォード大学、UCバークレー)、Office of Technology Commercialization(パデュー大学)など様々である。

TLOに関わる専門家の職能団体として、The Association of University Technology Managers (AUTM)があり、3,000名以上の個人が会員となっている。技術移転に関するベストプラクティスの研究、教育研修、調査出版、年次総会の開催などおこなっている。

AUTMによれば、大学技術移転は1996年から2015年までの20年間で4百万人以上の雇用を創出した。2017年には、約25,000件の発明が公開され、約7,500件の特許が成立、755の新製品や1,080社のスタートアップを生み出している。

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Sho434Q

坂崎 昌平 (Shohei Sakazaki):日系ベンチャーキャピタルの米国法人代表者を経て、2006年にシリコンバレーでTransCapを設立しました。テクノロジー業界動向調査、日米間のパートナーシップ支援、ベンチャー投資やM&Aの財務助言など、新規事業開発に関するサービスを提供しています。「米国IPO週報」発行人です。

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